近年、自己の意思表示ができなくなった場合に備えて事前に行う治療上の指示が重要視されるようになり、末期状態の患者が一定の延命治療を拒否することができるとする考え方が広まっています。
尊厳死宣言について大切なことは、その宣言が、「健常時」に「本人の意思」に基づいてされたことを明確にすることです。
患者となる者が、公証人の面前で尊厳死を希望するということを述べ、その本人の強い意思に間違いないこと、本人確認できる身分証明などによりその宣言者本人に相違ないことを公正証書で作成しておきます。
『例文』
平成30年第△△△号
尊厳死宣言公正証書(案)
本公証人は、尊厳死宣言者法務花子の嘱託により、平成30年○月○○日、その陳述内容が法務花子の真意に基づくものであることを確認の上、宣言に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。
第1条 私法務花子は、私が将来病気に罹り、それが不治であり、かつ、死期が迫っている場合に備えて、私の親族及び私の医療に携わっている方々に以下の要望を宣言します。
1 私の傷病が現在の医学では不治の状態に陥り既に死期が迫っていると担当医を含む2名以上の医師により診断された場合には、ただ単に死期を伸ばすためだけの延命措置は行わないでください。
2 しかし、私の苦痛を和らげる処置は最大限に実施してください。そのために、麻薬などの適切な使用により十分な緩和治療を行ってください。
第2条 この証書の作成に当たっては、あらかじめ私の親族である次の者の了承を得ております。
※
夫 法務太郎 昭和○○年○月○日生
第3条 私に第1条記載の症状が発生したときは、医師も親族も私の真意に従い、私が人間として尊厳を保った安らかな死を迎えることができるよう御配慮ください。
第4条 私のこの宣言による要望を忠実に果して下さる方々に深く感謝申し上げます。そして、その方々が私の要望に従ってされた行為の一切の責任は、私自身にあります。
警察、検察の関係者におかれましては、私の親族や医師が私の意思に沿った行動を執ったことにより、これらの者を犯罪捜査や訴追の対象とすることのないよう特にお願いいたします。
第5条 この宣言は、私の精神が健全な状態にあるときにしたものであります。したがって、私の精神が健全な状態にあるときに私自身が破棄または撤回しない限り、その効力を持続するものであることを明らかにしておきます。 以 上
※ 証書作成の際、この方に立ち会っていただくことをお勧めしております。
尊厳死宣言者と立会人は、その本人であることが確認できる必要書類をご準備ください。
必要書類
本人を確認する資料 | 運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)など公的機関発行の写真つき身分証明書と認印 |
または | |
発行から3か月以内の印鑑登録証明書と実印 |
作成手数料の算定方法
宣言に要した時間×11,000円=基本の作成手数料
当役場で作成する場合は、手続を含め30分程度のお時間で済みますので11,000円となります。
(別途正本代がかかります。)