離婚をすることは決めたけれど(離婚をしたけれど)、今後のお互いの生活のこと、子供のこと、財産の分け方等について相手との約束を確かなものにしておきたいとお考えの方は、公正証書できちんとしておくことが良いでしょう。
離婚はしないけど婚姻中に生じた夫婦間のトラブルを収めるための決め事や、別居中の生活面の約束事なども公正証書にできます。
打ち合わせであれば、当事者のどちらかがおいでいただくか、または役場においでいただかなくても、電話・メール・ファックスなどでも行うことができます。
離婚は一時の感情で勢いに任せてするものではありません。お互いにしっかりと話し合いの上、ご依頼ください。
離婚の公正証書を作成するにあたって・・・ | |
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① | 離婚することを合意した日と離婚届出の方法(夫婦のいずれが届け出るのか。又は届け出た日) |
② | お子さん(未成年者)の親権者及び監護権者の定め |
③ | 養育費、慰謝料、財産分与等の有無及びその金額、支払方法(一括・分割、支払期日、振込口座名等) |
④ | 慰謝料、財産分与を分割支払いとする場合、未払いとなったときのペナルティーの定め |
⑤ | お子さんとの面会交流の決まりごと |
⑥ | 強制執行に関する定め(支払遅滞時は強制執行を認諾する旨) |
⑦ | 年金分割合意をした場合は、お二人の基礎年金番号の確認及びそれの分割割合 |
『離婚届出前例文』
平成30年第△△号
離婚給付等契約公正証書(案)
【法律行為の内容】
第1条 甲と乙(※1)とは、協議離婚する(以下「本件離婚」という。)ことを合意し、併せて、この離婚に伴う子の監護、財産上の給付等につき、次条以下のように契約した。なお、甲は、甲の署名押印をした離婚届書を乙に交付してその届出を託し、乙は、本公正証書作成後速やかにその届出をするものとする。(※2)
第2条 甲、乙間の未成年の子A(続柄:名前:生年月日)及びB(続柄:名前:生年月日)の親権者を母である乙と定め、乙が両名の監護、養育に当るものとする。
第3条 甲は、乙に対し、A及びBの養育費として、平成○○年△月(始期を明記)から、同人らがそれぞれ満22歳に達した日以降の最初の3月まで、毎月■日限り、金○○○○○円ずつを、乙指定の口座に送金して支払う。振込手数料は甲の負担とする。
乙指定口座の表示
{銀行又は郵便局支店名等及び種類:口座番号:口座名義} を記載
第4条 甲は、乙に対し、前条に定める養育費のほか、A及びBが病気・進学その他の事由により、A及びBのために特別の出費を要するときは、乙の請求により、その費用を甲・乙協議の上負担するものとする。
第5条 乙は甲に対し、甲がA及びBと面会交流することを認める。その具体的な面会の日時、場所、回数及び方法については、A及びBの利益を最優先に考慮するとともに、その情緒安定に留意し、A及びBの福祉に慎重に配慮して、甲及び乙が誠実に協議してこれを定める。
第6条 甲が勤務先又は住所を変更したときは、甲は直ちに乙に通知する。乙が預金口座又は住所を変更したときは、乙は直ちに甲に通知する。
第7条 甲は、乙に対し、本件離婚に伴う(財産分与・慰謝料・解決金など具体的な項目を記載)として、金○○○○○○円の支払義務のあることを認め、これを下記のとおり分割し、各分割金を乙の指定する第3条記載の口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は甲の負担とする。 記
{支払期日:各期日に支払う金額} を記載
第8条 甲が前条の支払を▼回以上怠りその遅滞額が●●円に達したときは、当然に期限の利益を喪失し、この場合には、甲は、乙に対し、未払残債務に期限の利益を喪失した日の翌日から完済まで年○%の割合による遅延損害金を付加して支払う。
第9条 以上により本件離婚に関する一切の問題を解決したものとし、今後、財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず、互いに何らの財産上の請求をしない。また、甲及び乙は、本条項に定めるもののほかには相互に債権、債務を有しないことを確認する。(※3)
第10条 甲は、本契約による金銭債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する旨陳述した。
(※1)夫と妻のどちらが甲または乙の立場にするかは、当事者で決めてください。
(※2)離婚の公正証書を作成しただけでは、離婚の効力は発生しません。遅滞なく役所に提出するために予め記載します。届出人を明確にするため、誰にするか決めてください。
(※3)必要のない条項、その他共有財産の処分、年金分割など例文にはない当事者間で決めた事柄はお気軽にお問い合わせください。
必要書類
それぞれ当事者を確認する資料 | 運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)など公的機関発行の写真つき身分証明書(作成当日は認印) |
または | |
発行から3か月以内の印鑑登録証明書(作成当日は実印) | |
婚姻・子供の続柄等を確認する資料 | 戸籍謄本 |
財産分与をする場合の特定するための資料 | 不動産の登記簿謄本と固定資産評価証明書 |
預貯金・株式等 口座番号、銘柄等、車輛番号の概要を記載したメモ | |
年金分割をする場合の基礎年金番号を確認できる資料 | 年金手帳・情報提供通知書などそれぞれの番号がわかるもの |
養育費などの算定にお困りの方は、裁判所のホームページ:養育費・婚姻費用算定表を参考になさってください。
作成手数料の算定方法
・子供の養育費と妻への慰謝料などは法的性質の異なるものであるため、①子供全員の養育費総額②慰謝料及び財産分与・③年金分割の行為を分けて算定します。
※ただし、養育料の支払い期間が10年を超える場合は、公証人手数料令第13条第1項により10年間として算定します。
※年金分割はその割合にかかわらず、目的の価額を算定することができないので算定不能(目的価額500万)とします。
① 月額養育費×支払期間(合計月)=目的の価額
② 慰謝料+財産分与=目的の価額
③ 年金の分割=算定不能(公証人手数料令第16条により500万円)11,000円
具体例
母親を親権者と定め、父親が子供(平成10年1月生まれの子供A及び平成23年7月生まれの子供B)の養育費として、平成27年2月からそれぞれ子供らが満二十歳に達するまで一人当たり月額2万5000円、妻に対して慰謝料を70万円、財産分与として100万円の車を譲るという内容で公正証書を作成した場合・・・
①子供Aについては25,000(月額養育費)×36(H27.2~H30.1)=900,000
子供Bについては25,000(月額養育費)×120(H27.2~H37.1)※=3,000,000
(※上記規定により10年間で算定)
子供全員の養育費の総額 = 3,9000,000
養育費の手数料は、目的の価額500万円までの11,000円となります。
②700,000(慰謝料)+1,000,000(財産分与)=1,700,000
慰謝料及び財産分与の手数料は、目的価額200万円までの7,000円となります。
手数料の表↓に照らし、基本の作成の手数料は2行為であり合計18,000円となります。(別途正本代等がかかります。)
証書の作成手数料
目的の価額 | 手数料 |
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100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 17,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 | 23,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 | 29,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 43,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 43,000円に5,000万円までごとに1万3,000円を加算 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に5,000万円までごとに1万1,000円を加算 |
10億円を超える場合 | 24万9,000円に5,000万円までごとに8,000円を加算 |