事実実験公正証書とは、法律的な権利関係に関する一定の事実の存否について、公証人が自らの五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)の作用により直接見分した事実を記載して作成する公正証書のことをいいます。
事実確認の結果だけでなく、関係者による説明内容や事実実験の状況並びに写真(図面)等の添付を含め、具体的詳細に記載された事実実験公正証書は証明力や信用性が一段と高まるので、証拠保全を目的として作成され、事実実験公正証書は公文書として、裁判上真正に作成された文書と推定され(民事訴訟法第228条)、極めて有効な役割をすることになります。
事実実験の公正証書は事柄の性質上、必要に応じて公証人が現場へ出張をして作成いたします。
代表的な例として、大きく分けると次のように活用されております。
①尊厳死の宣言・意思表示による供述録取型
②金融機関の貸金庫の強制開扉又は強制移転
貸金庫の強制開扉などによる金庫内の格納品の点検確認・支店等の統廃合に伴う貸金庫の移転
など貸金庫を整理する目的で活用されています。
③知的財産権等のための証拠保全
知的財産権は、特許権、実用新案権、著作権、意匠権、商標権などの権利として出願登録することで
保護されるのが本来の姿ですが、そのためには、特許公報等によって技術を公開する必要があり、
その結果、実質上却って権利内容が侵害にさらされるのではないか・・・ということが危惧されています。
そこで、技術やノウハウの内容を公正証書に記載しておくことで、現在または将来の紛争に備えて、
秘密裡に保存され証明力の高い有力な証拠を確保できます。
技術内容の外部への流出を防ぐことができ、知的財産権を実質的に保護するということが可能です。
④不法行為・義務違反行為等による証拠保全
⑤土地の境界・建築状況確認
⑥手続が適法に履行されたこと等の証拠保全
必要書類
実験に本人(依頼者)が立ち会う場合 | |
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個人(AまたはB) | A 運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)など公的機関発行の写真つき証明書と認印 |
B 発行から3か月以内の印鑑登録証明書と実印 | |
法人代表者(A~C全部) | A 発行から3か月以内の印鑑証明書 |
B 発行から3か月以内の履歴事項全部証明書(または現在事項全部証明書) | |
C 代表印 |
実験に代理人が立ち会う場合 | |
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依頼者が個人の場合(A~C全部) | A 発行から3か月以内の依頼者の印鑑登録証明書 |
B 希望する実験の内容について記載した委任状に、依頼者の実印を押印 | |
C 代理人の身分証明書(a運転免許証など公的機関発行の写真つき証明書と認印 または b発行から3か月以内の印鑑登録証明書・実印) | |
依頼者が法人の場合(A~D全部) | A 発行から3か月以内の法人の印鑑証明書 |
B 発行から3か月以内の法人の履歴事項全部証明書(または現在事項全部証明書) | |
C 希望する実験の内容について記載した委任状に、法人の実印を押印 | |
D 代理人の身分証明書(a運転免許証など公的機関発行の写真つき証明書と認印 または b発行から3か月以内の印鑑登録証明書と実印) |
作成手数料の算定方法
・事実の実験並びにその録取及びその実験の方法の記載に要した時間の1時間までごとに11,000円として算定します。
事実実験等に要した時間×11,000円=基本の作成手数料
具体例
インターネット上のホームページにおける登録商標の使用状況に関する証拠を保全するため、会社の備え付けのパソコンの画面の操作をして閲覧することで事実を公正証書として作成する場合・・・
公証人が依頼人の会社に出向き、13時から着手し、その閲覧(実験・収録)の終了時刻は13時40分
役場に戻り、その記載に要した時間は50分間であった。
総所要時間 40分+50分=1時間20分
基本の作成手数料は、2時間までとなるので22,000円となります。
(別途日当、交通費実費、正本代等をご負担いただきます。)
事実実験による公正証書を作成することでお役に立てることがあると思います。
ぜひ一度ご相談ください。